息子の名前はハク。 浜武 白 僕が決めた。本当にいい名前に決めたと自負している。
こどもの名前を考えるにあたり僕は、シンプルで潔い名前にしたかった。だから白。真っ白で汚れてなくて、正義であり、天使であり生であり死である。そして神である。あ、紙でもいいけど。白は全ての可視光線を反射する色であり、光の三原色を合わせた色だ。巳年の息子なので白蛇は大変縁起がいいし、お米や小麦や塩や砂糖、白いものは命に繋がる。僕が絵描きなので、真っ白なキャンバスをイメージしたのも理由だ、特に新品のスケッチブックが好きでサラの状態で真っ白なスケッチブックを開いて何を描こうかと考えるだけでワクワクして気づいたらまたスケッチブックを買ってしまっていたこともあった。理由はどんだけでもあげられるので、一応九十九個あることにしている。百−一=白ということで。。。
お腹の子は男の子だと言う、日々名前を考えていた、仕事帰り会社を出て駐車場に向かう、田舎の夜は暗い、街灯も少なく月明かりを頼りに車へトボトボ歩いていた。ふと見上げた夜空に白く綺麗に輝く月を見た。息をのんだ、しばらく見上げたまま立ち尽くしていた。綺麗だった、悲しい様なあたたかい様な、その光はこの世の闇を優しく包んでいるように見えた、この真っ暗な世界の出口のようにも見えた。
産まれた男の子は二人によく似た、色の白い、よく笑う子だった。
お腹の中にいたのはお前だったのか。僕等は家族だ、ずっと家族だ。