ハネムーン 33

楽しかった。
よく歩いた。よく走った。美味しいものも沢山食べた。不安にもなったし、細胞に染み渡るような感動もあった。ギラギラした匂いや、優しいにおい、一足早い冬のにおいや、あたたかい美味しいにおい。思い返せば、山の様に撮った写真と、二人で乗り越えて進んだ冒険の時間。
そういえば、ミッチと出逢ってからこんなにも長い時間ずっと二人でいたことなんて無かった初めてだ。実際日々の暮らしでは、仕事にも行くし、土日休みでもその程度の共有なのだが、一週間以上の時間を朝から晩までずっと、過ごし共有出来た。知らない土地だし頼るものは何も無く、お互いの力を出し切ってやりきるしか無い。いいもんだな、と思えた。
今回の旅行で、ミッチは僕の意見をとても尊重してくれた。僕の大好きなダリとの対面やガウディ建築からの刺激。そして二人の為に、愛と優しさに溢れたパリの時間。任せるから好きな様に決めていいよ、と優しさの様な無責任な僕に、何度もスケジュールを決める上で確認してきた面倒くさがって『いいよ。いいよ。』と上の空であったが、結果僕の為を思っての旅行であった事は間違いない。本当に、頭が上がりません。ダリがガラを聖母の様に信仰し愛していた様に、これは僕も見習わねばなりますめえ。
亡き親父が、僕がまだ小さかった頃行ったフランスに、行くとは思ってもいなかったよ。

「旅行というのは沢山あるけど、新婚がつくのは人生で一度きり」
辛い事や、楽しい事が山のようにあるだろうけど、一日はあっちゅう間に過ぎてしまうけど、あらもう一年過ぎちゃったけど、どんどん産まれて、どんどん亡くなっていくし、後悔してるうちに忘れて、また壁がやってきて、歳を重ねるうちに刺激を感じる触覚も退化していくし、クリスマスも正月も誕生日も子供の頃の様な、特別な日では無くなり、霞んでいってまうし、きっと僕は貴方とこれから過ごしていきますが、そんな感じで当たり前の積み重ねで消化する毎日を送り、小さな輝く一瞬に一喜一憂してみたり。共有と呼べるだけの時間をなるべく作り、反省したり、感謝したり。仕事帰りにケーキを買って帰ったり、そういってる間に歳とっていくんだろうなあ。。。て考えたら、どうしようもなく寂しくなってしまったり。
だから、色褪せていってもいいから、同じ時をいきましょう。
僕は相変わらず偏屈で、短気で、我が儘ですが、貴方との日々を後悔した事は一度もありません。
楽しかったよ。ありがとう。

ハネムーン 32 パリ


タクシーはシャルルドゴール空港に到着して、料金を支払う。支払いは、カードででも出来た、しかし折角換金したので現金で支払う事にして、ちょうど€札を全部使い切る額であったので助かった。更に運転手が端数をまけてくれたので、嬉しくなり、フランスに感謝の意を込めおつりはチップであげた。
さてさて、手続きの類いは何となく出来そうなので、ブラブラ嗅覚を研ぎすまして重いスーツケースを押す。日本人が並んでる列に何となく並ぶ、が僕のアンテナが何か違う気がして、前のおじさんに尋ねたら、免税の手続きらしい、あら、じゃあここやないね、、、見回して日本人観光客ツアー団体を発見して、近づき添乗員が説明している話を、ふんふんと頷く。僕らとは全く関係ない団体だが、どうやら機内荷物預けの場所へ行くらしいから、後をついて歩く。この方法は間違いない、若い時ふらっと暇で京都の東寺を見学してる際、外国人観光客の団体に混じって添乗員の話をふんふんと聞いたものだ。何となく、意味が分かるし、観光スポットも分かる。
案の定、機内荷物預けのゲートに並び僕らの番になり、超ヘビー級のスーツケースをミッチが体重計に乗せた。係員は苦笑いして首を振り、規定重量を完全オーバーしていたので『ヘビー』と言ったが、まこれはいいよ。とヘビーのシールを貼り受け取ってくれた。。。しれっと僕も乗せたが、ただでさえミッチのスーツケースの一回り大きい僕のは、「それは無理だね」といった。いやいや無理では困る。確かに規定重量の倍以上になっていた。そんなお土産も買ってないのに、何故だ!?思い出詰め込み過ぎたのか。。とか言ってる場合じゃないね、係員が「出して、手荷物として機内に持ちこんで」というので、脇にそれてケースを開き重そうなものをトートバッグに詰め込んだ。で、完璧!と意気揚々と体重計に乗せるとまだ、1.5倍くらい超えている。「ふーーー。ま、いいよ。。。」と受け取ってくれた。メルシーといい、ヘビー級の手荷物を抱え出国ゲートへ。まだ油断出来ない、とにかく何かしらで止められたら説明する事も出来ないので、ここは一つ笑顔で、堂々と胸を張って通るべきなのだ。が、意外とあっさり出国。
シャルルドゴールの天井は、木の板が一面に広がり緩やかにカーブしている近代的な作りの建物だが、フランスの柔らかな印象を上手く表していると思う。
搭乗ゲート内のラウンジで食事を済ませ、エアフランスへの搭乗を待っていた、空は青々と晴れ渡り、日本人も多かった。僕は、飛行機が楽しみであった。行きの機内が楽しくて仕方なかったからであるが、帰りは少々違っていてCAはフランス人で、英語仕様になっていたのでDVDとかの操作が面倒であった。食事は、美味しく相変わらずビールもワインも好きなだけ飲め、ゆっくりくつろげたので満足には変わりなかったが。。。
日本食を一切食べなかったので、といっても二人ともそんなに恋しくもなっていなかったが僕は日本に帰って何食べようと考えると『ざる蕎麦』が浮かんだ。

ハネムーン 31 パリ

最終日に限って、晴れてしまった。。寒い朝。しかし大荷物を持っての、雨も大変なのでよかったのであろう。今日は、10時にホテルまでタクシーを呼んであり、フロント曰く残念ながらカードを使えないと言われていたので、¥を€に換金する必要があった。換金所は、モンパルナス駅の近くの通りにありフロントに聞くと、9時に開くと言うので二人で8時45分には万全にして開店待ちしていた。とはいえ非常に寒く、風が強かった。付近のキヨスクみたいな店で、ポストカードやマグネットを物色して時間をつぶしたが、全く換金所は開く気配ないし、人も訪れない。。。9時過ぎてこれはダメでしょと、次の手を打った。モンパルナス駅は大きなターミナル駅なので恐らく換金所があるだろうと走った。今日はモンパルナスタワーがはっきり見える。
モンパルナス駅構内を走り回り、換金所を探すとどうやら2Fにそれらしい行列を発見。間に合うか。。。とにかく行列の一番後ろに並び、『大丈夫かな?』と話しながら待つ。これで換金出来なかったら困る。前の黒人のおばさんに聞いてみた『¥カラ€チェンジオッケー?デスカ?』うなずき大丈夫そうだったので、一先ず安心して。順番を待った。
前のおばさんがちょっともめていて時間がかかったが、僕らの番が来てスムーズに換金出来た。しかし思ってたより少ないタクシー足りるか。。。冷汗。ま、最悪はカードで押し切ろう。よしそうしよう。
ホテルに帰って荷造りをしていたが、スーツケースは極悪に重くなっていて、これは帰国前に手がちぎれるかも、と心配になった。フロントにおりたらタクシーは来ており一応、「エスクヴザクセプテレカルトドゥクレディ?」と尋ねてみたら。「オッケー」??!!!!!!!!!!!何??!!!カード使えるの???!!!だよねーだと思ったー、えーーー朝のバタバタは何やったん?そーですか。使えるのねん。よかった。よかったよかった。タクシーに乗り込み、クラシックをBGMにパリを走る。セーヌ川沿いの道だろうか、あー今日は晴れて気持ちいいなあ。シャルルドゴール迄1時間ぐらいウトウトしていた。